物流の現場では、荷主名や倉庫のロケーション、聞き慣れない地名が会話に飛び交います。音声を扱うAIを入れても、この固有名詞を取り違えれば現場の手直しは減りません。
ここでは、専門用語と地名の認識精度に強みを持つ3つのサービスを、機能と運用の両面から比較します。物流業界の現場で、ボイスボットの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
AIコンシェルジュ(株式会社TACT)

引用元:https://service.tactinc.jp/aic/
| 会社名 | 株式会社TACT |
|---|---|
| 住所 | 【東京本社】東京都渋谷区神宮前1丁目3番10号 【本店住所】東京都品川区上大崎三丁目1番1号 |
| 電話番号 | 03-6741-4152 |
住所や専門用語に対応する専用認識エンジン
聞き取り精度を支えているのは、専用の音声認識エンジンです。通常のエンジンに加えて、住所や専門用語など聞き慣れない語にも対応する仕組みが用意されています。倉庫の所在地を口頭で伝える場面を考えてみてください。「〇〇町三丁目」と話しても、一般的な音声認識では別の漢字に変換されがちです。地名や施設名を正しく拾えるかどうかで、後工程の修正量は大きく変わります。
さらに専用辞書があり、言葉のゆらぎや言い回しを登録できます。荷主ごとに呼び方が違う便名や商品名も、辞書に入れておけば意図を汲んだ解釈につながるでしょう。登録は運用しながら追加でき、聞き取れなかった語をあとから補えます。
復唱で認識のずれをその場で埋める
復唱確認の機能では、相手が話した内容をAIが読み上げて返します。認識の食い違いを通話中に見つけられるため、誤った内容のまま処理が進みません。また、通話後の確認手段も整っています。対応履歴画面では音声とテキストの両方をいつでも見返せ、ピンポイント再生を使えば会話の要点だけを抜き出してチェック可能です。全文を聞き直す手間はかかりません。
案内の詳細や問い合わせ先は、通話の途中でSMSやメールとして送れます。口頭で伝えきれない情報を文字で残せるため、聞き間違いの起点そのものが減るでしょう。
追加費用のかからない継続的な運用改善
ボイスボットは入れて終わりではなく、認識できなかった発話を拾って辞書やフローを直し続ける作業が必要です。TACTでは導入後、カスタマーサクセスチームが毎月の分析と運用改善を主導します。この改善支援に追加費用はかかりません。専任の担当者を社内に置きにくい物流企業でも、精度を保ちながら運用を続けられるでしょう。
督促や契約確認、あふれ呼、電話番といった業務別のパッケージも用意されています。要件定義から始めずに稼働させられるため、まず一部の窓口から試すという進め方も可能です。
モコボイス(mocoVoice)

引用元:https://products.mocomoco.ai/
| 会社名 | mocomoco株式会社 |
|---|---|
| 住所 | 東京都港区六本木7丁目20-19 イナダビル302 |
荷主名やSKUを辞書登録して現場の言葉に合わせる
現場固有の言葉を認識させる仕組みが、モコボイスの中心にあります。荷主名、SKU、棚番、ロケーション、作業工程、拠点名、班名などが辞書の対象です。物流現場の会話には「A棚の3段目」「〇〇便の積み残し」といった略語が絶えず出てきます。辞書を整えておけば、文字起こしの手直しは目に見えて減るでしょう。
辞書は自動で育ちます。担当者が文字起こしを修正すると、その内容に合わせて登録内容が改善される設計です。拠点ごとに辞書を管理しながら、記録は横断して検索できます。棚番や班名まで正しく残せると、あとから記録を探すときの手がかりにもなります。
倉庫の騒音がある環境でも記録を残す
フォークリフトやコンベアの音が絶えない倉庫では、会話の録音そのものが困難なケースも少なくありません。モコボイスは設備音のある環境を前提とした設計です。実際の音声で精度を確かめながら、運用します。また、録音機器の選び方や置き方の相談にも応じています。マイクの位置ひとつで精度は変わるため、機材から一緒に決められる点は現場にとって心強い部分です。
話者分離と話者名認識機能も備えました。荷主、現場リーダー、作業担当のうち誰の発言かを追えるため、トラブル対応の振り返りで認識の食い違いが起きにくくなります。「言った」「言わない」の応酬を避けられるだけでも、振り返りにかかる時間は縮むでしょう。
拠点をまたいで改善履歴を検索できる
複数拠点を持つ物流企業では、同じトラブルが別の倉庫でも起きがちです。モコボイスは過去の申し送りやヒヤリハット、改善会議の記録を横断して検索できます。似た事故がどこで起き、どう対処したかをたどれるため、対策を一から考え直す必要はありません。閲覧権限は部署や担当者ごとに調整でき、音声や議事録はリンクで共有できます。記録は文字起こしのままではなく、朝礼記録や改善会議の議事録、荷主への共有メモといった形にAIが整えます。
PKSHA Voicebot(株式会社PKSHA Technology)

引用元:https://aisaas.pkshatech.com/voicebot/
| 会社名 | 株式会社 PKSHA Technology |
|---|---|
| 住所 | 東京都文京区本郷 2-35-10 本郷瀬川ビル |
| 電話番号 | 03-6801-6718 |
名前・住所・電話番号に特化した認識補正
株式会社PKSHA Technologyが提供するボイスボットの認識補正機能は、名前、住所、電話番号、日時に的を絞って設計されています。物流の受付で必ず聞き取る項目が、そのまま補正の対象になります。住所は表記のゆれが起きやすい情報です。「一丁目二番三号」と「1-2-3」のどちらで話されても、補正が働けば同じデータとして扱えます。配送先の登録ミスを減らす効果が見込めるでしょう。電話番号も同様で、桁の区切りや読み上げ方が違っても同じ形式に整えられます。
データ補正の機能も合わせて働きます。「えーと」のようなフィラーを取り除き、修正作業なしで使えるCSVデータとして出力できるため、基幹システムへの取り込みが滞りません。
独自辞書と生成AIで複雑な発話を読み解く
独自辞書には、専門用語や商品名、略称の発話ゆらぎを登録できます。社内でしか通じない略語が多い現場ほど、この登録が精度を左右するでしょう。登録した略称は復唱にも反映され、相手が使う言葉のままやり取りできます。加えて、LLM(大規模言語モデル)も搭載されました。複数の項目を一度にヒアリングしながら、発話内容に応じて処理を振り分けられます。「明日の午前に〇〇倉庫へ」とまとめて話されても、日時と場所を分けて受け取れる仕組みです。
ノーコードで対話フローを更新できる
対話フローは、専門知識がなくてもノーコードで作成・更新できます。ベンダーに依頼せず担当者が直せるため、繁忙期の受付項目の追加にも即応できるでしょう。物流の窓口では、荷主の増減や配送条件の変更が頻繁に起こります。フローを自社で調整できるかどうかは、運用の持続性に直結する部分といえるでしょう。Salesforce Service Cloudなどの外部サービスとAPI連携できるため、受電結果を手作業で転記する必要もありません。予約システムや商品データベースとつなげば、在庫確認まで自動で進みます。
導入時の支援体制も整っています。対話設計から運用改善まで専門チームが一貫して関わるため、初めてボイスボットを扱う企業でも進めやすいのが特徴です。
まとめ
電話の一次受付を自動化したいなら、AIコンシェルジュとPKSHA VoiceAgentが候補になります。住所や専門用語の認識に手当てがあり、復唱で通話中に誤りを正せる点は共通しています。運用を任せたい場合はAIコンシェルジュ、フローを自社で更新したい場合はPKSHA VoiceAgentがおすすめです。
一方、朝礼や申し送り、改善会議の記録を資産として残したいなら、モコボイスが向いています。倉庫の騒音下でも記録を蓄積し、拠点をまたいだ検索が可能です。どのサービスも資料請求と個別相談を受け付けています。自社の通話や会議の音声で精度を確かめたうえで、導入を検討してみてください。

